アバター
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ジェームズ・キャメロン「アバター」を観た。
下半身不随の肉体、地球人とナヴィのDNAを掛け合わせた
                    アバター、AMPスーツ、パリー、イクラン、トゥルーク、
                    あるいは身体に描かれた文様。
                    物理的身体が変化する中で、アイデンティティはどのような
                    影響を受けるかというのが、この映画の大きなテーマだと思う。
近代以降の世界において、アイデンティティを決めるのは
                    心理的身体であり、物理的身体は心理的身体が使用するために
                    拡張されるものという認識が強かった。
                    しかし、インターネット、臓器移植、VRなどの発展とともに、
                    個の特定の仕方に対する物理的身体の影響が再認識される
                    可能性は十分に出てきている。
3D映画という表現方法もまた、アイデンティティについての
                    認識を改める可能性を秘めているように思うが、2D映画と同じ
                    画作りでよいのかということは考えてしまう。
                    第四の壁の向こう側に奥行きができたとき、壁のこちら側にある
                    映画館という空間は何なのか、大勢で観ているとはどういうこと
                    なのか、この視点は誰のものなのか。
                    「観るのではない。そこにいるのだ。」というキャッチコピー
                    どおりの表現ができたとき、近代的な複製技術としての芸術とは
                    別の芸術が出来上がるように思う。