不特定の通信者
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食品や衣服のように、強奪したものをそのまま利用するので
                    あれば、交換制度そのものの否定という理解ができるが、
                    貨幣という交換されることで価値をもつものを、強奪という交換を
                    否定する方法で手に入れることが横行するのはなぜだろうか。
                    そこには交換の肯定と否定のダブルスタンダードがある。
このダブルスタンダードを可能にしているのは、文明化によって
                    個の特定と判断基準の共有が分離されたことである。
通信手段が変化し、コミュニケーションの同時性や同地性が 必須条件でなくなると、見知らぬ相手との判断基準の共有が 可能になり、文明が生まれたと考えられる。
An At a NOA 2017-11-12 “日本の人類学”
コミュニケーションの送信時と受信時で別の個体として振る舞える
                    ことが、貨幣という交換制度を瓦解させることなく逸脱できる状況を
                    生み出す。
                    ネット上で横行する匿名による罵詈雑言も、不特定化された個に
                    よって行われるいびつな交換という点で、貨幣の強奪と同じである。
文明人は、不特定の通信者unspecified communicatorである。
                    不特定多数の中における特定が恐れられる原因が、不特定の通信者
                    からいびつな交換を迫られることにあるのであれば、特定ではなく
                    不特定をやめるという「文明的でない」解法もあるように思うが、
                    文明人には受け入れがたいだろうか。