バナナ型神話
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知恵の樹の実を食べた人間は必ず死ぬようになり、
男には労働の苦役が、女には出産の苦しみが
もたらされたとされている。
獲得した知恵を駆使することで、労働からの解放に
手をかけつつも、自ら労働に拘泥してしまうのは、
知恵の樹の実の呪いだろうか。
あるいは、その究極に、知恵の樹から生命の樹への
転換があることを恐れてのことだろうか。
労働からの解放と出産の喪失が同時に起こり、
その代償として長命を獲得する。
当然、知恵は既に失った状態である。
バナナ型神話において、獲得した知恵を使うことによる、
石とバナナの再選択は可能なのだろうか。
森博嗣のWシリーズのテーマだと言ってもよいかもしれない。
(というか、「すべてがFになる」以来の、真賀田四季に関する
あらゆるストーリィに共通する問題である)
「彼女は一人で歩くのか?」
「魔法の色を知っているか?」
「風は青海を渡るのか?」
そして、現代社会における最大のテーマの一つでもある。