ある島の可能性
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ミシェル・ウェルベック「ある島の可能性」を読んだ。
DNAと人生記に書き込まれた情報からまったくの同一
人物を複製し、生殖や発生の省略と〈至高のシスター〉
という基準によって徹底的にエラーを排除することで、
ネオ・ヒューマンは不死となる。
その不死性によって、ひたすらに壊死へと向かうネオ・
ヒューマンに可能性の光明はなく、時間が媒介変数と
化した「終わりのない静止状態」を生きる他ない。
ネオ・ヒューマンは、「幼年期の終り」のオーバーロード
と同じように、進化の袋小路に追い込まれている。
旧人類が夢に見て、ネオ・ヒューマンが辿り着けなかった、
「時間の真ん中に存在する可能性の王国」に至れるもの
として想定される未来人は、ネオ・ヒューマンの先には
存在せず、まったく別のところから現れるのだろう。