struo
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構造設計をやりたいなら、ものが壊れるところを
                    みなさい、ということを学生のときに教わった。
                    壊れ方や壊し方を知ることが、構造を知ることに
                    つながるのだ。
structureの語源はラテン語のstruere(I build)で、
                    destroyの語源も同じく、de(un)+struere(I build)。
                    construeは言語学の構文解析のことだが、これも
                    con(with)+struō(build)。
                    construeには「理解する」という意味もあるが、
                    これは適切な構造を与えることが理解すること
                    そのものだからだろう。
「壊す」の対義語は「構える」だろうか。
                    構文解析のように、対象に構造を与えることが、
                    つまりは「構える」である。
                    その構造はいつか不可逆的に失われ、ひとまとまり
                    だったものが分離する。
                    その「壊す」過程によってエントロピーが増大し、
                    時間が流れる。
                    忘却と同じである。
「壊す」が忘却関手なら「構える」は自由関手であり、
                    拘束条件の追加による、possibleからrealへの接近、
                    virtualからactualへの接近である。