リズムとテンポ
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音楽には音の三要素以外にもリズムやテンポが関係する。
リズムrhythmはギリシャ語のῥυθμός(any measured flow
or movement)に由来し、時間的なパターンを表す。
一方、空間的なパターンは周波数特性として音の三要素の
うちの音色や音程に分類される。
テンポtempoの語源はtempus(ラテン語で「時」)であり、
同じように時間に関わるが、こちらは速度に対応している。
tempusがさらにギリシャ語のτέμνω(to cut)に関係している
というのは興味深い。
上記は一般的に受け入れられているリズムとテンポのイメージ
に近いと思われるが、リズムと音色や音程の違いを時間と空間の
違いとして捉えるのは妥当なのだろうか。
ある瞬間に鳴っていると人間が知覚する音ですら、空気の振動
であることを考えれば、時間的な幅なしでは音として聴こえず、
空間的なパターンとしての音色や音程という表現はあまり適切
でないように思われる。
音自体がある周波数で生じる空気の振動なのだとすれば、
音色や音程とリズムの差はどこにあるのか。
人間の耳で知覚される最低音は約20Hzであるから、テンポに
換算すると20×60=1200BPMで、1000BPMのオーダーである。
一方、人間が音楽として鑑賞するもののテンポは10〜100BPMの
オーダーであり、これを周波数に換算すると0.1〜1Hz程度である。
その開きはおよそ10倍であるが、人間の耳のセンサ特性に応じて、
空気の振動パターンの周波数が20Hzよりも小さいものはリズム、
大きいものは音色や音程として知覚されると言えるだろうか。
通常、音をフーリエ変換したときには可聴域に対応する20Hz〜
20000Hzしか問題にならないのかもしれないが、0.1〜1Hz付近に
リズムに対応するスペクトルは現れるのだろうか。
聴覚センサのセンサ特性が異なる場合には、人間にとってのリズムが
音程になって音色の一部を構成したり、逆に音程の一部がリズムを
刻んだりして聴こえるということもあるのかもしれない。