BLAME!
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映画「BLAME!」を観てきた。
ストーリィは原作とは違っているが、本人が本格的に
製作に関わっているらしく、弐瓶勉の新作として
楽しめたのはすごくよかった。
3DCGもかなりきれいに仕上がっていて、駆除系の
動きの恐怖感と、人間の動きのなめらかさが印象に
残っている。
「BLAME!」の世界というのは、人工が自然化した
状態だと言える。
かつて自然を理由で塗りつぶすことで人工にした人間は、
ネット端末遺伝子を失うことで、理由の連鎖が織りなす
ネットスフィアへのアクセスを断たれる。
既に把握できなくなった理由によって制御されたセーフ
ガードはもはや自然現象であり、それに対してネット端末
遺伝子をもたない世代なりの理由が付されることで社会
現象化し、自然現象は災害となる。
災害とは、社会現象化した自然現象である An At a NOA 2017-03-14 “都市の脆弱性が引き起こす激甚災害軽減化”
おそらく、この世代の人間にとって、ネットスフィアは
神々の住まう国であり、統治局は神のように感じられる
だろうから、肉体と精神が分離した近代的科学者のシボ
だけがそこに近づけたというのは象徴的だ。
理由の連鎖が一度途切れてしまうと、新たな自然として
立ちはだかるというのは、大小さまざまなスケールで
起こってきたし、これからも起こっていくように思う。
あるいは、神林長平「ぼくらは都市を愛していた」のように、
「各各〈独り〉で生かすことができる能力を持っている、マシン」
である〈都市〉と、「〈独りでは生きるな〉と命令し、強制
していた」〈田舎〉を対比させて、都市論としてみてみるのも
面白いかもしれない。