プロスポーツ
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科学の研究が何の役に立つのかという問題は、
                    プロスポーツは興行なのか競技なのかという
                    問題に近いように思う。
プロスポーツは観客あってこそ成立するという
                    意味では興行である。
                    しかし、何かの筋書きどおりに動くというのは、
                    演劇のような別の種類の興行になってしまい、
                    プロスポーツでは八百長と呼ばれることになる。
                    いくら面白かろうと、それが真剣勝負の競技で
                    あるからこそ、プロスポーツという興行として
                    成立し得る。
                    競技だからこそ興行として成立するし、興行として
                    収支が合うからこそ競技が継続できるのだ。
科学は、資本主義の名の下にお金が注入されるから
                    こそ継続できる。
                    そして資本主義もまた、科学の成果によって無限の
                    成長という幻想を維持できるからこそ成立する。
                    この文脈で言えば、研究が役に立つかという問いは
                    すなわち、その研究は如何にして資本主義に与する
                    のかという問いになる。
おそらくこの手の質問が嫌いな研究者がいるのは、
                    なぜ資本主義を前提にしなければいけないのかに
                    ついて納得がいかないからだと思われる。
                    資本主義、あるいはもっと一般に、経済や政治と
                    切り離した科学は可能だろうか。
                    そもそも、人や物にお金がかかるとはどういうことか。
                    産官学連携という言葉をかざして、資本主義と科学の
                    相互駆動を止めないために続けられる努力とは逆行
                    するかもしれないが、そこを考えるのをやめてしまう
                    のであれば、研究はすべて産と官に任せ、学は教育に
                    専念すればよくなってしまうように思う。