ディザインズ
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Amazonのおすすめに、五十嵐大介の「ディザインズ」
                    という漫画が挙がっていた。
                    Google Booksでサンプルを読んでみたところ、
                    これは紙の本で読んだほうがよさそうだと思い、
                    久々に漫画を紙媒体で購入した。
細かい線の集合が絵という一つの秩序をなしている
                    感じがすごくよい。
                    境界を明確に描くことで秩序を作るよりも遥かに
                    難しいと思うが、生命という秩序を隔てる境界が
                    本来的に多分に含む、ある種の曖昧さを上手く表現
                    しているように思う。
境界は常に脆く不安定で曖昧である。
維持するための不断のエネルギー摂取が不可能になったとき、 その灰色の境界は崩壊する。
An At a NOA 2017-03-22 “灰色の境界”
「浦沢直樹の漫勉」の五十嵐大介特集において本人や
                    浦沢直樹が語ることも、そういったあたりに繋がって
                    いるように思われる。
ある季節の、ある時間帯を体感した自分の感動、感覚をどう人に 伝えられるか。それを、一枚の絵で描くよりも、シーンやセリフを 連ねていって、自分の体験を、漫画を読んだときに、体験できる ようにならないかな、みたいなことで描いている。(五十嵐)
自然物って、枝がどうなっているかなんて、分からないこと だらけだし、そういうものを、分かる物として描いちゃうと ダメなんですよ。分からない物として描く、そうすると 自然物になるんですよね。(浦沢)
言語も本来は曖昧さを含んでいるはずが、送り手や受け手の
                    使い方によって、明確なものになってしまうことがある。
                    言葉によって抽象できない、というよりは、言葉で抽象する
                    ことで、意図しない秩序に固定されてしまう、というのが、
                    本当のところなのかもしれない。
                    そこに陥らないために、物理的身体のセンサに頼るというのは
                    健全な対応だと思う。
                    物理的身体によって抽象されることで秩序は形成しつつ、
                    心理的身体と物理的身体の距離感によって境界の曖昧さが残る、
                    というか。
「ディザインズ」はストーリィ的にもSFを含んでいて興味深い。
                    動物の人化、感覚の共有、環世界。哲学的だ。
                    他の作品も読んでみようか。