可逆圧縮
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抽象された部分から全体が再構成できないのは、
部分化する際に失われる情報があるためである。
これはエントロピー増大に対応する。
情報を失わないように、つまり可逆なかたちで
圧縮を行えばエントロピーを増大させずに
抽象することも可能かもしれないが、可逆圧縮
による抽象には何か利点があるだろうか。
抽象というのは、むしろどれだけ多くの情報を
不要なものとして削ぎ落とせるかによって、
利点が大きくなるように思われる。
FLAC等、データを可逆圧縮する形式はあるが、
圧縮されたファイル単体では可逆ではなく、
そのファイルがFLACでエンコードされていることや、
FLACのデコード方法についての情報を組み合わせる
ことで可逆な圧縮伸長過程となる。
だからこそデータサイズが小さくなるのだ。
そういう意味では、抽象過程を分離することで、
情報の削ぎ落としと可逆性を両立することは
可能かもしれない。
ただ、その可逆性によって、常になかったことになる
可能性を帯びた抽象の結果としての過去=記憶は、
何を意味することになるだろうか。
その世界ではタイムマシンも可能になるだろうが、
そもそもその世界において、時間が媒介変数としての
役割以外を果たすことがあるだろうか。