吹き溜まり
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抽象のイメージは吹き溜まりに近い。
落ち葉が風に吹かれてあちこちへと舞う。
                    ちょっとした障害物のために風の流れができ、
                    ある場所では落ち葉が舞いやすく、
                    また別の場所では落ち葉がとどまりやすい。
                    そうしてできた吹き溜まり。
                    そこに新しく舞い込んでくる落ち葉もあれば、
                    去っていく落ち葉も少なからずある。
                    落ち葉の去来とともに移り変わる吹き溜まりの
                    かたちに意味はないが、
                    無意味に耐えられない人間は、
                    誰かの営為としてみてしまう。
個々の落ち葉が情報だとすれば、
                    吹き溜まりは抽象され圧縮された情報であり、
                    つまりは過去という記憶だ。
                    そこに見出されたかたちがその意味であり、
                    かたちの変化とともに記憶も意味も変化する。
                    そして、吹き溜まりのまわりで風に吹かれて
                    舞っている、あるいは合流するのを今か今かと
                    待っている落ち葉、それが未来だ。
実在の抽象は空間の中でも時間の中でもない
                    領域で行われているはずだ。
                    その得体のしれない吹き溜まりを、吹き溜まり自身が
                    シミュレートすることで、空間や時間という構造を
                    浮かび上がらせている。