パートナー


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先日のパートナーシップへの補足として。

デイヴィッド・ブルックスの「あなたの人生の科学」の「はじめに」において、 「ゲーデル、エッシャー、バッハ」を書いたダグラス・ホフスタッターと、 脳腫瘍で亡くなった彼の妻のエピソードが語られている。

気づくと私は、涙を流しながら「ここに私が!私がいる!」と声に出して 言っていた。(中略)もはや二人は一体で、不可分だった。(中略) キャロルは死んでしまったけれど、彼女の核の部分はまだ死んでいないのだと 悟った。彼女の一部はすでに私の中にいて、確かにまだ生き続けていた。
D.ブルックス「あなたの人生の科学 上」p.24

コンセンサスに基づいて個人の意識ができるのであれば、二つ以上の 身体間でのコンセンサスによっても、ある種の意識と呼べるものができる というのは特別神秘的な話ではない。
ただし、異なる身体間でのコンセンサスを得るための情報通信量は 膨大であろうから、長年連れ添った夫婦のような間でしか見られない のも納得がいく。
阿吽の呼吸で言葉少なにコミュニケーションを取り合う老夫婦は、 そのような間柄にあるのだと想像する。

partnerはラテン語のpartitionem(partitioの対格、単数)、さらには、 partio(share,part; divide)やpars(part, piece)に由来するらしい。
上記のようにして得られたコンセンサスは、私でもなければあなたでも ないものになる可能性があり、それはお互いがある全体のpart=一部を なすものとして存在するという意味で、partnerという全体をかたちづくる。