抽象
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どこで読んだのか失念したが、
「抽象とは、異なる事柄に同じ名を与えることだ」
という意味の話を読んだ憶えがある。
それが、「象」のタイトルの由来であり、 「象」の一番最初のページに記載している、
人間を特徴付ける最大の能力は抽象である。
という文言の由来だ。
抽象とは、構造を取り出すことである。
構造とは、2以上の事象間に見出される共通事項のことである。
意味とは、認識された差異である。
認識とは、入力された情報を圧縮することである。
情報とは、とりうる状態のことである。
圧縮とは、距離空間における距離の短縮である。
意識とは、理由付けを備えた評価機関である。
たくさんの情報の中から共通事項を見出し、
意味付けや理由付けによって抽象することこそが
人間の特徴である、という捉え方である。
よく、具体的に言ってくれ、という場面があるが、
本来は抽象的に言ってくれた方がわかりやすいはずだ。
論文の頭に付けるabstractがその代表例である。
この点に理解が得られないとすれば、concreteの対義語を、
abstractではなくobscureかなんかだと思っているせいなのだろう。