専門分化
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ある前提を共有した下で精緻化するにあたって、専門分化は
とても上手く機能する。
その世界で各専門家に責任を振り分けた上で、安全を安心に
読み替えることができるのは、共通の前提があるからである。
専門分化はspecializationあるいはdifferentiationという部分化
であり、前提を見失うとgeneralizationやintegrationによる
全体の再構成が不可能になる。
それはつまり、リテラシーがなくなるということである。
リテラシーとは、抽象から具象を再構成する能力である。
An At a NOA 2017-04-28 “思考の体系学”
前提とは、その抽象が基にした判断基準のことである。
前提が変化するのであれば、それに合わせて専門分化の形態も
変化する必要があるが、価値自由でないために前提の変化に
気付かないことが往々にしてある。
知らぬ間に前提の共有が崩れることで、安全と安心の関係も
維持できなくなり、専門分化した知は判断機構として機能
しなくなる。
おそらく人工知能の責任の問題も同じ問題に落ち着くだろう。
深層学習によってRBM等の網の目に織り込まれた判断機構は、
細かく専門分化した知のように、外部からはわかりづらい。
唯一共有し得るのは、データセットによって埋め込まれた前提
のみであり、外部からできる最大の努力は前提を明確化すること、
価値自由であり続けることである。
しかし、価値自由である範囲があまりに少ないにも関わらず、
それなりに上手くいっている現状を思えば、人工知能として
判断機構を外部化する際にも、価値自由になる努力はなされない
ままに、何となく上手くいくようになるのだと想像される。