エネルギー保存則の哲学
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エネルギー保存則にあたる概念は、デカルトや
ライプニッツも考えていたらしいが、熱力学的
には1842年のマイヤーの論文が最初になる。
マイヤーは今で言うところのエネルギーにあたる 〈力〉について、
〈力〉は原因である。これにたいして原因と 結果は等しいという根本原理が直接に適用される。
(中略) 原因は量的に不滅で質的には可変な対象である。
山本義隆「熱学思想の史的展開2」p.318
と述べており、山本も指摘するように、
〈力〉とは、あえて言うならば、この関係連関 そのものないし関係連関相対によって定義される 不変量ということになる。
同p.320
熱を〈力〉概念に包摂することにより〈力〉の保存則 を維持する、というよりむしろ、保存則を維持する ように〈力〉概念を熱にまで拡大するのである。
同p.325
というかたちで、原因と結果が不滅なままに一連の
数珠つなぎとなっているという、マイヤーが提示した
エネルギー保存則の哲学は、150年以上にわたって
継承されてきている。
ネーターの定理によれば、この哲学こそ「並進対称性を
もつ時間」という近代的な時間観そのものなのである。