不気味
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ゲンロン5でも不気味の話が出てきたが、不気味さ
というのは、ある観点からは近いはずなのに、別の
観点では遠いと感じられることと関係している。
逆に、遠いはずなのに近く感じられるものは
ポジティブに受け取られるように思う。
つまり、理由付けによって遠く離れていくものが
不気味なのだと思われる。
不気味の谷というと、3DCGやロボットの話が
ほとんどだが、人間や国家でも、物理的な距離が
近いのに、コミュニケーションが取れない存在は
不気味である。
距離空間の取り方によらず、何らかの尺度で近い
のに遠く感じられるものは不気味になり得る。
不気味の谷現象は、ある距離まで近づくと不気味
になり、さらに近づいてある点を超えると不気味
でなくなる、と説明されるが、評価軸が一つという
ことはないはずで、外観や動作を精巧にするだけ
で不気味でなくなることはないと思われる。
物理的な距離感と心理的な距離感の二軸に対して
不気味さをプロットしたときに、物理的な距離
だけを縮めた後で心理的な距離を縮めるような
経路を通るから谷に感じられるだけであり、
本来は坂のようになっているのではなかろうか。
不気味さをなくすには、その存在を排除するか、
理由付けの仕方を変えて近く感じられるように
するか、理由付けをやめるかといった方法が
考えられる。
都市では、コミュニケーション不全を常態として
受け入れることで理由付けをやめ、人間同士の
近さを不気味でないものにしている。
逆に田舎では、理由付けの仕方を強制し、物理的な
距離感と心理的な距離感を一致させることで
不気味さを排除しているように見える。
3DCGやロボットに対してはどのような経路で
アプローチするのがよいのだろうか。