Preserving digital art
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Google Arts & Cultureより、デジタル空間における
                    芸術の保存について。
芸術が物理的実体とともに失うのは、それに依存した示し
                    による通信である。
                    ベンヤミンがアウラと呼んだものもおそらく同じであり、
                    物理的実体が発信する情報を物理的身体が受信するという
                    抽象過程が果たしていた示しの役割が失われることで、
                    芸術はどこか空虚で片手落ち感のあるものになってしまう。
しかし、語りと示しの区別の可変性のおかげで、それは
                    一時的なものになり得る。
                    これまでは語りの役割を果たしていた抽象過程の一部が、
                    ハードウェア的な性格を増すことで、示しとしての役割を
                    担うようになると、新しい形態の芸術として受容される
                    ようになるはずだ。
                    ハードディスクやファイル形式という意味でのハードウェアは
                    もちろんのこと、表現を成立させるための基盤となる共通認識
                    としてのハードウェアをつくらなければ、芸術は保存されない。
真、善、美といった、本来は語りの範疇にあると思われる概念が、
                    唯一絶対のものとして想定されるのも、固定化によって示しとして
                    機能していることの現れなのかもしれない。
                    Post-truthの時代において、こういったものを語りへと戻すのであれば、
                    代理となるものを示しとして採用する必要はないのだろうか。