19世紀パリ時間旅行
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ANAの機内誌「翼の王国」の鹿島茂の連載で知った展覧会、
                    練馬区立美術館の「19世紀パリ時間旅行」に行ってきた。
鹿島茂氏のコレクションをベースに、19世紀に行われた
                    パリ改造をテーマにした展覧会なのだが、絵画、写真、
                    服飾や地図といった展示物に加え、そこに添えられた
                    説明によって、改造前後のパリが描き出されている。
ちょうど「パサージュ論」をパラパラと読み通している
                    ところなので、ノスタルジックに描かれる改造前の風景
                    から、写真、モード、万博といった大量複製の影響が
                    顕著になる改造後の風景への移り変わりをとても興味深く
                    楽しめた。
蒐集において決定的なことは、事物がその本来のすべての 機能から切り離されて、それと同じような事物と、 考えうるかぎりもっとも緊密に関係するようになるという ことである。
(中略)
真の蒐集家にとって、この体系のなかで一つ一つの物は、 その時代、地域、産業や、それの元の所有者に関する あらゆる知識を集成した百科全書となるのである。
事物の各々を一つの魔圏のうちに封じ込めることこそ、 蒐集家の行うもっとも深遠な魔法である。[H1a, 2] ヴァルター・ベンヤミン「パサージュ論」第2巻p.9
展覧会というのは、蒐集家による深遠な魔法の一形態である。
図録もとても密度が濃くてよい。
                    展示替えがあるらしいので、後期になったらまた行こう。