細部のリアリティ
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GRAVITY DAZE 2のPVがとても凝っていて面白かった。
本編を見たときに、人間以外はCGかもなと思ったら、
意外にもほとんどが実物のようだ。
紙のはためきみたいなものは、物理演算で再現するのが難しい。
伸びなし変形を厳密に計算するとなると結構面倒で、大量になるほど
演算量も膨大になる。
そういう細部ほど、映像にしたときにどうしても目についてしまい、
ものによって重力が反転していたりしていなかったりすることよりも
気になってしまうだろうから、CGだとコストパフォーマンスが悪すぎる
ために、実写でやるのがベターなのかもしれない。
ディテールが意味付けに耐えるようになることで、リアルさが生まれる。
An At a NOA 2016-09-09 “リアルさの再現”
シミュレーションというのはそもそも、ある基準を設けて抽象する
ことであるから、ディテールは削ぎ落とされることが多い。
建築の構造解析であれば、実験のあらゆる境界条件を厳密に再現して、
実験とピッタリ同じ物理現象を再現することは重要ではなく、
着目した物理現象に関係する必要十分な情報だけを如何にして
抽象するかが腕の見せ所だ。
ディテールに凝ることは、場合によっては抽象度を下げることに繋がるため、
シミュレータというよりはエミュレータに近づくことになる。
ゲームのような映像作品ではどちらかというと物理エミュレータが
必要になってくるということなのだろう。
運動方程式に従う粗い弾性体のモデルに、深層学習で構築した細部の変形特性を
重ね合わせるような方式で、人間のセンサによるチェックにも耐え得るだけの
性能を備えつつ、コストの面でも実物に勝るような物理エミュレータが現れるのも、
そう遠くはないのかもしれない。