様式美
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あるものが、何故それがよいのかを説明されても
なお感銘を受けられるものには、もれなく様式美が
備わっていると思う。
お笑いで言えば、歌舞伎や落語はもちろんのこと、
ダチョウ倶楽部の芸も、特定の世代にとっては
様式美を備えた伝統芸能の一種だと言える。
このように、理屈による部分への解体に耐えられるだけの
形式をつくるということを、一人の人間が一生のうちに
成し遂げるというのはものすごく難しい。
時間の制約上、単純に試行回数が足りないのだ。
歴史は繰り返されることでかたちが定まっていき、
やがて伝統になる。
歴史に語り手がいることから、必然的に伝統も語り手を
背負うことになるが、いろいろな語り手が繰り返し語ることで
語り手の存在自体はすり減っていく。
いつしかその背後にいる語り手が消えたとき、伝統が生まれている。
人工知能が膨大な学習の末に得ているものは、ある種の伝統だろうか。
訓練データの背後に存在する正義は消えることがあるのだろうか。