時間


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時間とは、繰り返しの中に見出された順序のことである。

同じような事象が連続して繰り返されることは多い。
鼓動、日の出入り、月の満ち欠け、季節。
それが繰り返されているものだと認識することから、 時間概念は発生しうる。

脳に入力された信号が同じようなものであると認識できる能力に加え、 それを順序に並べ、要素間の発生間隔を記憶する能力も必要である。

時間概念なしでも、現在一日と呼ばれている時間間隔に合わせて 行動することは可能である。
それは、日射、気温、湿度、風等の外的要因への反応でしかなく、 意識が芽生える遥か昔からの習慣だろう。

段階的ではあるが、いろいろなものが繰り返されていることを知り、 それを順序付けることができたことで、時間という概念を抽象することができた。
あらゆる繰り返しの中に見出した構造を時間と名付け、 その構造体自身を扱えるようになったのも、人間を特徴付ける 抽象能力の賜物である。

ブルバキ的に言えば、空間が位相的構造をもつのに対し、 時間は順序的構造をもつ。
ここに決定的な違いがあるように思われる。
時間軸上の移動ができたとして、果たしてそれは空間軸上の 移動と同じ意味をもつことなどあるだろうか。

パブリックな時間が存在して、個々人がそこにアクセスしているという 古典的な時間概念は相対性理論とともに崩れ去った。
上記のような時間の発生過程を想像すると、 相対性理論を持ち出すまでもなく、絶対的な時間など存在しない方が 自然であり、コミュニケーションのために抽象された言語に近いものだと 考えられる。

時間はとてもプライベートなものである。