読書の夏
[tag: book]
日本語は天才である(柳瀬尚紀 著)
                    秘密(東野圭吾 著)
                    プラチナデータ(同上)
                    読了。
柳瀬さんがフィネガンズ•ウェイクの訳者であることは
                    寡聞にして知らなかったが、日本語の巧みさに感服する。
                    パングラムを創るにはもっと日本語を知らなければと痛感する。
                    --
                    プラチナデータは正直あまり興味をもてなかったが、秘密には
                    揺さぶられるものがあった。
                    単行本出版当時、事故にあった藻奈美とほぼ同い年で、現在
                    ラストの藻奈美と同い年。干支が一回りもするだけの月日を、
                    どんな気持ちでやり直せるだろうか。
                    物語中盤、係長に出世した平介に対する中尾の台詞、
                    「会社ってのは人生ゲームだよな。」の下り。
                    現場と上の距離感が、二人の距離感に巧く投影されていると思う。
二人の秘密が一人の秘密になる過程が、年老いるしかない男には
                    どうしようもなく堪える。